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コラム

「Windows 10サポートは無償延長された」は誤解。会社のPCはどうする?

アップデート中の画面と目覚まし時計、工具を持つエンジニアのイラスト

最近、お客様から「Windows 10のサポートが、また1年延びたんですよね?」と聞かれることがありました。2026年6月に、マイクロソフトがWindows 10のセキュリティ更新を2027年10月まで無料で延長すると発表し、ニュースでも大きく取り上げられたためです。ただし、この延長の対象は個人のパソコンだけで、会社で使っているパソコンには当てはまりません。この記事では、何が延長されて何が延長されていないのか、会社のパソコンをどうすればよいのかを整理します。

まず現状確認から

  • Windows 10の通常のサポートは、2025年10月14日に終了しています。
  • 2026年6月に発表された「2027年10月までの無料延長」は、個人向けの延長プログラムが対象です。会社のパソコンは対象外です。
  • 会社のパソコン向けの延長プログラム(有償)は、1年目が2026年10月13日に終わります。2年目を続ける場合、費用は1台あたり122米ドルと、1年目の2倍になります。
  • 会社でWindows 10を使い続けている場合は、Windows 11に移行するか、有償の延長を買い足すかを決める必要があります。

「延長サポート(ESU)」とは

サポートが終了したWindowsには、新しく見つかった弱点(脆弱性)を直す更新プログラムが配信されなくなります。それでも移行が間に合わない利用者のために、マイクロソフトは期間限定でセキュリティ更新だけを提供する「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU:Extended Security Updates)」を用意しています。新しい機能の追加や、使い方の問い合わせ窓口は含まれません。あくまで「穴をふさぐ更新だけを、もうしばらく届ける」ための仕組みです。

このESUには個人向けと法人向けの2種類があり、条件がまったく異なります。今回の「無料延長」のニュースで混乱が起きているのは、この2つが区別されずに伝わっているためです。

  個人向けESU 法人向けESU
対象 個人が自宅などで使うパソコン(Microsoftアカウントで登録したもの) 会社・団体で使うパソコン
期限 2027年10月12日まで(2026年6月に1年延長) 1年ごとの購入で最長3年。1年目は2026年10月13日まで
費用 今回の延長分は追加費用なし 1台あたり 1年目61米ドル、2年目122米ドル、3年目244米ドル
申し込み方法 パソコンの設定画面から登録 マイクロソフトのボリュームライセンス、または販売パートナー(CSP)経由で購入

会社のパソコンは、いまどういう状態か

会社のWindows 10パソコンの状態は、法人向けESUを購入しているかどうかで2つに分かれます。

法人向けESUを購入していない場合

2025年10月14日以降、セキュリティ更新は届いていません。すでに1年近く、新しく見つかった脆弱性がふさがれないまま使われている状態です。「パソコンは普通に動いているから大丈夫」と思われがちですが、動くことと安全であることは別の問題です。メールの添付ファイルや閲覧したウェブサイトから攻撃を受けたときに、防げる仕組みが一つ欠けていることになります。

法人向けESUの1年目を購入している場合

2026年10月13日までは、セキュリティ更新を受け取れています。その後も更新を受け取るには、2年目分の購入が必要です。購入しなければ、10月14日以降は更新が止まります。

選択肢は3つ

1. いまのパソコンをWindows 11にアップグレードする

パソコンがWindows 11の動作要件(CPUの世代、TPM 2.0など)を満たしていれば、ライセンス費用をかけずにアップグレードできます。まずは、お使いのパソコンが要件を満たしているかを確認するところから始めます。業務で使っているソフトや周辺機器(プリンター、会計ソフト、業務システムなど)がWindows 11で動くかの確認も欠かせません。

2. Windows 11のパソコンに買い替える

要件を満たさない古いパソコンは、買い替えが現実的です。費用はかかりますが、動作の速さやバッテリーなど、セキュリティ以外の面でも改善が見込めます。データの移行や、メール・Microsoft 365の設定のやり直しが必要になるため、台数が多い場合は計画的に進めます。

3. 法人向けESUを購入して、時間を稼ぐ

専用の業務ソフトがWindows 11に対応していない、買い替えの予算が今期は取れない、といった事情がある場合の選択肢です。注意したいのは、ESUが「累積方式」であることです。2年目から加入する場合でも、1年目の分をさかのぼって支払う必要があります。

加入のしかた 1台あたりの費用(米ドル)
1年目から加入し、2年目も継続 61+122=183
2年目から新たに加入 61+122=183(1年目分もさかのぼって必要)
3年目まで継続した場合の合計 61+122+244=427

3年間延長すると、1台あたり400ドルを超えます。新しいパソコンの購入費に近い金額になるため、ESUはあくまで「移行までのつなぎ」と考えるのがよいでしょう。なお、Windows 365(クラウドPC)やAzure Virtual Desktopなど、マイクロソフトのクラウド上でWindows 10を動かしている場合は、追加費用なしでESUが適用されます。

どれを選ぶかの目安

  • Windows 11の要件を満たすパソコン:アップグレードを第一候補にします。費用が最もかかりません。
  • 要件を満たさず、購入から5年以上たったパソコン:買い替えをおすすめします。ESUを払って延命しても、数年以内に買い替えが必要になる可能性が高いためです。
  • Windows 11で動かない業務ソフトがあるパソコン:そのパソコンに限ってESUを購入し、並行して業務ソフトの更新や代わりの方法を検討します。

全台を同じ方法にそろえる必要はありません。1台ずつ状態を確認し、組み合わせて考えるのが現実的です。

同じ10月13日に終わる、ほかの2つのサポート

「うちはもうWindows 11に入れ替えたから大丈夫」という会社も、念のため確認しておきたいことがあります。同じ2026年10月13日(米国時間)に、買い切り型の「Office 2021」と、Windows 11の「バージョン24H2」(Home・Pro)のサポートも終わります。

対象サポート終了日(米国時間)対応
Office 2021(Home & Business、Professionalなど)と、法人向けのOffice LTSC 20212026年10月13日延長の仕組みはなし。Microsoft 365のアプリ、またはOffice 2024などへの移行が必要
Windows 11 バージョン24H2(Home・Pro)2026年10月13日バージョン25H2以降に更新すれば、引き続きサポートを受けられる(追加費用なし)

Office 2021には、Windows 10のような有償の延長サポート(ESU)はありません。また、Microsoft 365のメールやOneDriveに接続して使う場合も、10月13日以降はマイクロソフトのサポートの対象外になります。すぐに使えなくなるわけではありませんが、Outlookでメールを読み書きしている会社ほど、早めに移行を考えておきたいところです。

一方、Windows 11 バージョン24H2は、新しいバージョンに更新すれば済む話です。多くのパソコンには自動で更新が届きますが、更新を一時停止したままのパソコンや、再起動を先延ばしにしているパソコン、ふだん電源を入れない予備機は、24H2のまま残っていることがあります。バージョンは「設定」→「システム」→「バージョン情報」で確認できます。

今週中に確認しておきたいこと

  1. 社内に、Windows 10のまま使っているパソコンが何台あるか
  2. それぞれが、Windows 11の動作要件を満たしているか
  3. 法人向けESUの1年目を購入しているか(購入している場合は、2年目をどうするか)
  4. Windows 11で動くか確認が必要な業務ソフト・周辺機器はあるか
  5. 買い切り型のOffice 2021(Office LTSC 2021を含む)を使っているパソコンはあるか
  6. Windows 11のパソコンが、バージョン24H2のまま残っていないか

「Windows 10のパソコンが何台あるのか、正直わからない」という会社も珍しくありません。その場合は、まず台数と状態の洗い出しから始めましょう。

おわりに

「無料で延長された」というニュースは、聞いた人をほっとさせます。しかし、会社のパソコンについては状況は変わっておらず、むしろ有償延長の費用が上がる節目を迎えています。パソコンは毎日使う道具だからこそ、「いま動いている」ことと「安全に使える」ことを分けて考える必要があります。

エディトルでは、情報システムの担当者がいない会社の「外部の情報システム担当」として、パソコンの台数や状態の洗い出し、Windows 11への移行計画づくり、買い替えに伴うデータ移行やMicrosoft 365の設定までお手伝いしています。「うちの場合はどうすればいいのか」という段階からご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

 

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